School of Visual Arts(SVA)は、ニューヨークを代表するアート・デザイン系大学です。SVA Libraryでは、学生がさまざまな分野のリサーチを始められるよう、厳選されたリソースやヒントをまとめた44種類のリサーチガイドページを提供しています。


デジタルネイティブの学生が図書館サイト上でリサーチリソースを見つける方法を明らかにし、ニーズに応える改善を提案
クライアント・スコープ
School of Visual Arts(SVA)は、ニューヨークを代表するアート・デザイン系大学です。SVA Libraryでは、学生がさまざまな分野のリサーチを始められるよう、厳選されたリソースやヒントをまとめた44種類のリサーチガイドページを提供しています。

課題
SVA Libraryには多くの問い合わせが寄せられており、司書による直接的なサポートへの依存を減らし、学生が自力でサービスを利用できる状態を目指していました。また、リサーチガイドをより効果的に活用してもらうことも望んでいましたが、ユーザーがサイト内をどのように移動しているかの理解が不足しており、改善が難しい状況でした。
目標
チャレンジ
SVA Libraryは全学サイトの一部であるため、ページコンポーネント、機能、スタイルを自由に変更できる範囲が限られていました。UX提案の実現可能性を担保するため、これらの制約を考慮する必要がありました。
各リサーチガイドは異なるトピックを扱い、レイアウトや目的もさまざまでした。ユーザーやユースケースも学生から教員まで幅広く、限られた時間の中で最も大きな影響を出す方法を考える必要がありました。
調査方法
ユーザーがどのようにナビゲーションするかを理解するため、行動観察型のリサーチ手法を使用しました。
自然なユーザー行動についてインサイトを得たいというクライアントのニーズに適していたため、アイトラッキングを選びました。
アイトラッキングで自然な行動を観察した後、RTAを用いたインタビューを行い、観察された行動の背景を深掘りしました。
主要ユーザーである大学生を、個人ネットワーク、学校のメーリングリスト、現地リクルーティングを通じて募集しました。
12セッションを実施しました(デスクトップ8件、モバイル4件)。
シナリオ・タスク
限られた期間で最大限の影響を出すため、利用頻度が高く、テンプレート化しやすいページをテスト対象に選びました。ガイドの目的に合わせ、初期段階のリサーチシナリオを反映したタスクを設計しました。どちらのタスクでも、参加者にはページ内の説明を使って、プロンプトに関連するリソースを探してもらいました。

SVA学生が利用できるデータベースを紹介するページです。
なぜこのページか
主要な入口であり最もトラフィックが多いページだったため、改善による影響が最も大きいと考えました。
リサーチクエスチョン
ユーザーは自分のリサーチニーズに合うリソースを、どれだけ効果的に見つけ、理解し、利用できるか?
シナリオ・タスク
アメリカンファッション史に関する論文を書くため、ファッション雑誌のリソースを探すタスクを設定しました。

説明付きでデザインアーカイブのリソース一覧を提供するページです。
なぜこのページか
より広く活用できるテンプレート化の可能性がある重要ページをクライアントに選定してもらい、このページが選ばれました。
リサーチクエスチョン
個別のリサーチガイドを、明快で移動しやすい形に整理する最適な方法は何か?
シナリオ・タスク
グラフィックデザイン学生として、映画ポスター制作に使うタイポグラフィのリソースを探すタスクを設定しました。
テスト・分析
分析の最初のステップとして、レインボーシートを使い、共通する行動パターンとRTAで得たフィードバックを統合し、主要な発見を俯瞰しました。次に、定量指標、アイトラッキングデータ、ユーザーの発言を照合し、インサイトを抽出してストーリーを組み立てました。アイトラッキングはユーザーが実際に何をしたかを示し、発言はその行動の理由やニーズを明らかにし、定量指標は各課題の影響度と深刻度を示しました。

総合的な発見
学生の79%はタスクを完了できた一方で、SUSスコアは41.3にとどまり、リサーチガイドページのユーザー満足度が低いことが示されました。オンラインリソースページとデザインアーカイブページそれぞれで、主要なUX課題を2つずつ特定しました。
79%
タスク完了率
41.3%
System Usability Score
インサイト - オンラインリソースページ
検索と流し読みの難しさにより、事前知識なしで関連データベースを見つけることは困難でした。
テストでは、ユーザーが検索バーを使いたがることが分かりました。他のWebサイトでの体験と同じように、検索バーなら関連リソースにより早くたどり着けると期待していたためです。
67
%
検索への希望に言及
50
%
タスク中すぐに検索を実行
2.37
分
平均タスク所要時間
検索バーですぐに目的の場所へ連れて行ってほしいです。全部を見るのに時間を使いたくありません。

学生は検索を試すことが多いものの、複数語やタイプミスを含む複雑なキーワードでは、現在の検索機能が関連データベースを返せないことがありました。
67
%
検索を試した参加者のうち、検索バーから一致するデータベース結果を得られなかった割合

検索バーを使わない場合、学生はページを流し読みしようとしましたが、テキスト量の多さと情報階層の不足により難しくなっていました。
67
%
情報過多の課題に言及
私はあまり忍耐強い方ではなく、特に文章はそうです。この量の小さな文字は読みたくありません。

提案 #1
まず、検索バー機能の改善を提案しました。より短期間で取り組みやすい改善として、各データベースの内容を理解し、自分のリサーチに関連するものを見つけやすくするため、コンテンツを流し読みしやすくすることも提案しました。具体的には、ロゴサイズを大きくし、データベース名のフォントサイズと太さを強め、短いキーワードを追加し、説明文を減らすことを提案しました。

視覚的階層が弱くテキスト量が多いため、コンテンツを流し読みしにくい状態でした。

視覚的階層を強め、テキスト量を減らすことで情報過多を抑え、ユーザーがキーワードを手がかりにデータベース概要を素早く確認できるようにしました。

提案 #2
使用されるキーワードにかかわらず検索機能がより安定して機能するよう、複雑なクエリへの対応やタイプミスの補正などを提案しました。

検索バーで複数のキーワードに対応できるようにする。

タイプミスがあっても検索できる、堅牢な検索バーにする。
インサイト - デザインアーカイブページ
3列目やファーストビュー下にあるリソースは見落とされやすい状態でした。
多くの学生は、列がカテゴリごとに分かれていることを理解しないままページを移動していました。ラベルは小さく見つけにくく、カテゴリ自体も不明確で重複することがあり、ユーザーが検索対象を絞るための手がかりとして十分に機能していませんでした。
83%
列ラベルに関する課題に言及
これらの列がどう分かれているのか分かりません。カテゴリが重なっていることもあります。

明確なカテゴリへのフォーカスがないため、多くのユーザーは列の間を不規則にスクロールしていました。見落としたリソースを確認するために何度も上へ戻る必要があり、効率に影響していました。さらに重要なのは、このレイアウトによって予期しない注意の偏りが生まれ、3列目が最初の2列よりも見られにくくなっていたことです。
市場で買い物しているみたいでした。列から列へ移動しなければなりませんでした。

提案 #3
既存のタブコンポーネントを使ってリソースをグループ化し、カテゴリをより見つけやすくしながら実現可能性も担保することを提案しました。また、ユーザーが列を行き来しなくて済むよう1カラムレイアウトへ変更し、効率を高め、予期しない注意の偏りをなくすことも提案しました。

振り返り
このプロジェクトを通じて、定量指標、アイトラッキングで見えた行動、ユーザーの発言を結びつけ、明快なUXストーリーとして伝える力を伸ばすことができました。プロダクトデザイナーとして、リサーチインサイトをより行動につなげやすくするために、このスキルを使い続けたいです。
A/Bテストなどのフォローアップ評価を通じて、提案が実際に体験を改善するかを検証したいです。